水を使った屈折率算出方法


 従来、簡易的な方法として、球面設計(トーリック面も含む)のレンズに関しての屈折率の
算出は、眼鏡情報2でご紹介しているカーブ計を用いてその曲率等から計算していました。

しかし、この方法は手間がかかる上、誤差は大きく、球面レンズしか算出することができず、
非球面レンズや歪んだレンズでは算出できません。                        

 そこで今回は、球面レンズだけでなく、非球面レンズや歪んだレンズでも、算出する方法
をご紹介致します。                                 

手順

1.シャーレの底に、レンズを置くためのレンズ受け台にするため、3つの円柱形シリコンを
  エポシキ系接着材を用い装着する。(接着しなくてもできます)                
  *シャーレはガラス製を用い、空気中でも水を入れても度数が “0.00” になることを
   必ず確認して下さい。(水を入れたときは、レンズを固定する上のレンズ抑えは上げる)

2.シャーレにレンズの凸面を下に乗せ、レンズメーター(1/100単位で測定できるオート
  式が望ましい)に固定させ、空気中にてレンズの頂点屈折力(度数)を測定する。

3.2の状態(シャーレやレンズは外さない)のままシャーレに水を注ぎ、レンズを水中に沈
  めレンズを固定する上のレンズ抑えは上げて、度数を測定する。
  *この時、振動があると、水面が動くので度数表示は静止できず落ち着かない。

4.空気中及び水中で測定された度数から、屈折率を計算し算出する。           

  計算式は以下の通りである。(測定された度数が、乱視付きの場合は、強主経線度数
  で計算した方が、誤差は少なくなります)

  Dv1:空気中での度数  Dv2:水中での度数  n1:空気の屈折率  n2:水の屈折率
  n’:レンズの屈折率                                        

  (計算式) n’= (n2×Dv1−n1×Dv2)/(Dv1−Dv2)
  (例) Dv1:空気中での度数=S+5.00    Dv2:水中での度数=S+2.50
      n1:空気の屈折率=1  n2:水の屈折率(ne)=1.334

(1.334×5.00−1×2.50)/5.00−2.50 =1.668

  下記に、計算プログラムを一応組んでおきました。

 空気中度数=   水中度数=



その他

1.レンズの受け台が、シャーレを置くのに不安定で適してはいないので、メガネ用とコンタク
ト用があるように、シャーレとの接地面を広げた専用の受け台をメーカーさんが作って
くれると便利。

2.SCLの度数測定のように、レンズを完全に水中に閉じこめる専用ケースがあると、多少
の振動があっても度数表示はすぐ静止し便利。このときは、レンズ抑えが使えるので
1.は必要なくなる。

3.オートレンズメーターは、自動で加入を表示するように、屈折率算出も自動で表示させれ
ば便利。その際、防水加工もほしいところ。


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2000/5/07公開