屈折率算出方法(簡易的方法)


 エンドユーザーより、別のメガネ店で購入されたメガネをお持ち込みになら
れてお作りする場合、特に片玉みのご希望の場合レンズの屈折率が特定で
きると、それが重要な基礎データーになります。

今回は、簡易的な屈折率の算出方法をご紹介致します。


1.必要な道具
(1)普通のレンズメーターでも良いですが、オート式 1/100D表示でd線対応が理想。
(2)カーブ計(カートン光学製が望ましい)
(3)保護テープ

2.算出できる条件
(1)球面レンズである。(非球面には使えません)
(2)マイナス度数である。(平面・弱度には使えません)
(3)プラス度数は、下記の中心厚をモーラした計算式を用います。
(4)単レンズまたはバイフォーカルレンズである。
(5)あまり歪んでいない。

3.球面か非球面かを見分ける
(1)レンズ前面を測定
   厚み計を用い、全面をランダムに測定。
    目盛りが変化 → 非球面レンズ
    目盛りが無変化 → 球面レンズ

(2)レンズ後面を測定
    Tc付きの場合は、Ax180とAx90で印点を打ち、後面をその各印点線上にずらしながら測
   定して行きます。目盛りが、さほど変化しなければ普通のトーリック面ですし、変化すれば非
   球面トーリック面になっています。

※1 弱度の非球面レンズは「セイコーSSV−AZ」以外全て球面設計になっています。
    球面品種との違いはカーブが浅くなっています。

※2 カーブ計を当てる際は、レンズが傷つくので保護テープを使いましょう。

4.歪みか非球面か見分ける
 特にプラスチック素材では、球面設計でも歪み・変形による目盛りの変化が起こってしまう事があ
ります。確認方法として
(1)印点をする。(乱視の軸方向は何度でも良い。)
(2)レンズの前面の印点と、カーブ計の真ん中の測定点を一致させる。
(3)(2)の状態で、カーブ計を回転させる様にランダムに測定して行く。
   目盛りが変化すれば、歪み・変形による目盛りの変化と判断出来ます。

5.データーの測定と計算
(1)レンズメーターでDvを測定。
(2)前面カーブD1と後面カーブD2を測定。
   ※Tc付の場合は強主経線の方が誤差は少なくなります。
(3)D1+D2≒DvになればNd=1.523になります。
(4)D1+D2=D≠Dvになれば
    n=0.523Dv/D+1 へ代入します。

6.具体例
 レンズメーター度数Dv=S−3.50C−1.00Ax90(強主経線度数−4.50)
前面カーブD1=+3.75
後面カーブD2=−6.68(強主経線の印点に合わせて測定)
n=0.523×(−4.50)/−2.93+1
n≒1.8

7.プラス度数も算出するには
 中心厚 t を考慮した厚いレンズの公式を用いますので、中心厚を測定する厚み計が必要になりま
す。(t の単位はmです)
D=D1+D2の代わりに
D=D1/(1−D1・t /1.523)+D2
へ代入します。

※マイナス度数もこの式の方が、望ましい。

8.屈折率算出計算
(1)下記の計算は、厚いレンズの公式を用い平面以外は計算をしますが非球面レンズや弱度の算
   出結果は大きな誤差がでます。
(2)半角数字で、符号(プラスは、省略できます)や少数点も入力して下さい。
(3)後面カーブは、プラスのWレンズ以外は必ずマイナスになります。
(4)測定機、測定時、計算式にも誤差はそれぞれにあり算出されるデーターは必ず誤差を伴います。
度数(強主経線)<Dv>=
前面カーブ<D1>=
後面カーブ<D2>=
中心厚 t <mm>=

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